
現金勘定が思ったより複雑でわからないです。何が現金になるのか教えてください。
現金預金について 4点解説します。
実は、簿記2級以上の人たちでも間違えやすい論点だったりします。
この記事では3級を勉強中の皆さんにとって、間違えやすい論点を中心に解説します。
小切手も現金? [現金の増減]
例1-1.小切手(受け取ったとき)
問題:売掛金10を(他店振出の)小切手で回収
解答:現金10/売掛金10
解説
売掛金10が減ってそのぶん現金10が増える。
現金そのものではなくて(他店振出の)小切手も現金扱い。
現金(資産)が増えるからまず現金10を左(借方)に書く。
現金10/□□
残った右側に売掛金10を書き込む。
現金10/売掛金10
例1-2.小切手(支払ったとき)
問題:売掛金10の回収ではなく、買掛金10の支払ではどうなるでしょうか?
解答:買掛金10/現金10
解説
支払ということは現金が減る。資産の減少なので右(貸方)に書く。
□□/現金10
残った左(借方)に買掛金10を書く。
買掛金10/現金10
帳簿と実際の現金にズレがあるときは [現金過不足]
実際有高と帳簿にずれがあると発生します。(誤っている)帳簿を(正しい)実際有高に合わせるイメージを持つといいかもです。
例2-1-1.現金過不足(実際のほうが帳簿より多い)
問題:現金について 帳簿15 実際20であった。
解答:現金5/現金過不足5
解説
(誤)帳簿→(正)実際に合わせるので、(帳簿上の)現金勘定を5増やすイメージ。
現金が5増えるのだから 左(借方)に書く。
現金5/□□
残った右側に現金過不足5を書く。
現金5/現金過不足5
例2-2-1.現金過不足(実際のほうが帳簿より少ない)
問題:現金について 帳簿20 実際15であった。
解答:現金過不足5/現金5
解説
(帳簿上の)現金を5減らすイメージ。
現金が減るのだから 右(貸方)に書く。
□□/現金5
残った右側に現金過不足5を書く。
現金過不足5/現金5
「現金過不足」は仮の勘定科目なので、もし原因が分かったらその科目に振り替える。
例2-1-2.現金過不足の理由がわかったとき(実際のほうが帳簿より多い)
問題:(以前の仕訳) 現金5/現金過不足5
現金過不足5の原因は売掛金5回収の記帳忘れ、だと分かった。
解答:現金過不足5/売掛金5
解説
現金過不足を消す(相殺する)ように考えるとよい。
右(貸方)にある現金過不足を相殺するには左に計上すればいい。
→現金過不足5/□□
残った右(貸方)に売掛金5を書く
現金過不足5/売掛金5
※売掛金回収=売掛金減少=右(貸方)に売掛金5を先に書いてもいい。
(現金勘定は前問時点で正しい値に修正されているのでそのままでよい)
例2-2-2.現金過不足の理由がわかったとき(実際のほうが帳簿より少ない)
問題:(以前の仕訳) 現金過不足5/現金5
現金過不足5の原因は買掛金5支払の記帳忘れ、だと分かった。
解答:買掛金5/現金過不足5
解説
現金過不足を消すため、右(貸方)に計上する。
□□/現金過不足5
残った左(借方)に買掛金5を書く。 買掛金5/現金過不足5
口座残高が不足しています [当座借越]
当座預金の残高が不足している時に銀行が一時的に肩代わりしてくれるシステム。
短期的な借入金のイメージ。借金(=負債)とおさえておけばOK。
例3-1.当座借越の基本問題
問題:仕入100を行った。 当座預金の残高は70 (当座借越限度:200)
解答:仕入100/当座預金70 当座借越30
解説
仕入のため、当座預金が減る。→当座預金を右(貸方)に書く。
本来100と書きたいが70しかないため、とりあえず70とかく。
□□/当座預金70
反対側に仕入100を書く。
仕入100/当座預金70
差について。30だけ当座預金が足りないので、借金として当座借越30と書く。
仕入100/当座預金70 当座借越30
これで左100=右70+30 とバランスが取れた。
例3-2.3-1の続き
問題:例3-1の続きとして。現金100を当座預金として預けた。
解答:当座借越30 当座預金70/現金100
解説
現金100が減るので右(貸方)に書く。
□□/現金100
借金(当座借越)30を返す。次に当座預金70を増やす。
当座借越30+当座預金70/現金100
※例1 例2ともに当座借越と当座預金がどちらも同じ側(貸方or借方)に来ているのが分かるはず。(例1貸方 例2借方)
「当座」は同じ側だよ、と覚えてしまって問題ありません。
※当座預金…業務用の預金。小切手や手形などで取引する。
先にまとめて渡しておくと楽だよね [小口現金]
細かい支払まで毎回仕訳しているのは面倒だ。
→ある程度のお金をあらかじめ渡しておいて、「まとめて報告をもらう」ようにした。
例4-1.小口現金をあらかじめ渡したとき
問題:(会計係が)用度係の人に対し、小口現金100を小切手振り出して渡した。
解答:小口現金100/当座預金100
解説
会計係:帳簿の人 用度係:買ってくる人
あらかじめ、当座預金を減らしておく、というイメージ。
□□/当座預金100
反対側に小口現金100
小口現金100/当座預金100
小口現金は資産。混乱しない人は小口現金を先に書いてもいいと思う。
「小切手を振り出し」…当座預金勘定を使う。
例4-2.用度係が支払ったとき
問題:ある日、用度係が通信費10と交通費20を支払った。
別の日、用度係が通信費10と交通費20を支払った。
解答:仕訳無し
解説
数回取引しているイメージをもつといいですね。毎回仕訳をするのが面倒だからまとめて報告をもらう、というのが小口現金の目的。したがって、取引時ではなく報告時にまとめて仕訳をする、と関連付けて覚えると楽かも。
例4-3.報告をしたとき
問題:例4-2の報告を用度係が行った。
解答:通信費20+交通費40/小口現金60
例4-4.小口現金を補給したとき
問題:小切手60を振り出して小口現金を補給した。
解答:小口現金60/当座預金60
※例1と同じ
例4-5.(4-4のかわりに)直ちに小切手を振り出して補給したとき
問題:例2の報告を用度係から受け、直ちに小切手を振り出して補給した。
解答:通信費20+交通費40/当座預金60
解説
例3と例4の仕訳を合算すると以下のようになります。
通信費20+交通費40+小口現金60/小口現金60+当座預金60
↑から小口現金を相殺するとよいです。
合算して相殺すればよいことだけ覚えていればいいです。 特に例4-5の仕訳を丸暗記する必要はありません。
まとめ
1現金の増減→他人振出の小切手は現金扱いです
2現金過不足→帳簿数値を実際数値に近づけるにはコレを使う
3当座借越→当座預金とまとめて「当座」として考えてOK
4小口現金→先に渡しておく小さな財布、くらいのイメージ
コメント