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固定資産売却の仕訳のやり方は?【簿記3級・減価償却】

減価償却費

固定資産を売却したときの仕訳がわかりません。例えば以下の仕訳です。

減価償却費100 備品  1,000
減価償却累計額100
現金750
固定資産売却損50
目次

答え:分けて考える

例題

前期首に建物1,000を買ってきた。(建物:定額法10年、残存価額0)←仕訳済

当期末に建物を750で売却し、現金で受け取った。…②

(減価償却の仕訳も行う…①)

じつは、↑の仕訳は2つの仕訳が合体したものになっています。

①通常の減価償却の計算(期末に行うもの)

減価償却費100減価償却累計額100

1000/10年=100 

②固定資産の売却の仕訳

減価償却累計額200備品1000
現金750
固定資産売却損50

もともと、1000の備品がありました。前期首に買ってきたので、当期末時点では2年経過しました。

1年あたりの減価償却費は100ですから、2年分は200です。

備品の簿価(純額)は1000-200=800です。

この、実質800の備品を750で売ったので、仕訳イメージは以下の通りです。差額50円は売却損です。

現金750備品(純額)800
固定資産売却損50

今は、備品を純額で表示(=直接法)しているので、取得価額と減価償却累計額を使った、総額表示(=間接法)に戻します。

具体的には800とあったものを1000-200と直します。

減価償却累計額200備品1000
現金750
固定資産売却損50

③最後に、①と②の仕訳を合体する。

減価償却費100減価償却累計額100
減価償却累計額200備品1000
現金750
固定資産売却損50

減価償却累計額の科目が重複しているため、相殺すれば完成です。

減価償却費100 備品  1,000
減価償却累計額100
現金750
固定資産売却損50

難しい場合は以下も参考にしてください。

【復習】まずは減価償却の基本から


①当期首に建物1,000を買ってきた。現金で支払った。(建物:定額法10年、残存価額0

建物1,000現金1,000

②当期末になった。

減価償却費100減価償却累計額100

なぜ、減価償却をするの?

例えば、5年使える設備(100)があったとします。

減価償却が無かったとすると費用計上は以下の通りになります。

✗1✗2✗3✗4✗5
費用計上1000000

設備が5年間使えるのに対し、いきなり✗1年度に費用100が計上され、その後0というのはバランスが悪いのです。

会計には、売上に貢献する期間に適切に配分してねという原則があります。

5年間使えるのだから、100÷5=20が1年間分だよね、という仕組みです。

✗1✗2✗3✗4✗5
費用計上2020202020

価値が減った分を 外からはどのくらい減っているかはわからないので、見積もって計算しています。

定額法(日商簿記3級)では毎年同じだけ減っていくという見積もりとしています。

複数年使えるものを「資産」として計上して、少しずつ費用にしていくイメージです。

取得価額✗1末✗2末✗3末✗4末✗5末費用合計
資産(建物)1000(※1)800(※2)6004002000
費用200(※2)2002002002001000

(※1)建物取得時の仕訳(✗1年期首) 1000円 5年定額法 残存0

建物【資産】1000現金【資産】1000

(※2)✗1年末決算時

減価償却費【費用】200減価償却累計額【資産】(※3)200
※3減価償却累計額は建物のマイナス

建物の簿価は取得価額(資産)1000-減価償却累計額(資産のマイナス)200=800 となります。

一方、1年以内に消費される、少額のものは、最初から「費用」として計上するイメージです。

例えば、消しゴムは10万円未満で少額ですから、消耗品費という「費用」になりますし、建物は長期間使えますし金額も大きいので「資産」になります。

直接法と間接法

①「固定資産-減価償却累計額」=②「簿価」

直接法は、②のように固定資産の金額を直接減らして表示する方法です。(純額表示)

減価償却費25備品25

間接法は、①のように、取得価額がわかるように減価償却累計額をつかいます。(総額表示)

減価償却費25減価償却累計額25

100の備品 耐用年数4年だと

初年度末 備品100-減価償却累計額25=簿価75と表示します。
2年目末 備品100-減価償却累計額50=簿価50と表示します。

期中に固定資産を買ったときの処理

3/1に備品1200を購入しました(耐用年数10年、残存0)。決算日3/31の仕訳を教えてください。

減価償却費10減価償却累計額10

1年間の減価償却費は1200/10=120です。1年間は12ヶ月ですから、1ヶ月分は120/12=10です。

3/1~3/31は1ヶ月分ですから、減価償却費は10です。

減価償却費の計算式に0.9が出てくる理由

残存価額が10%のとき、解答の計算式に0.9が出てくるときがあります。

例えば1000*0.9/10年=90(取得価額1000、耐用年数10年、残存10%)と出てきます。

↑の計算式がわからない場合は以下の通りに考えてみましょう。

残存価額が取得価額の10%ですから、残存価額は1000*0.1(10%)=100です。

最初は1000だったのが最後には100になります。

10年間で900減る(=1000-100)減るため、1年間で90減ります(=900/10年)。

この90が減価償却費です。

減価償却費90減価償却累計額90

0.9を使うやり方なら、以下のとおりです。

(1000ー1000*0.1)/10年

=(1000*1-1000*0.1)/10年

=1000*(1-0.1)/10年

=1000*0.9/10年

=900/10年

=90

解答の計算式にこだわらずに、わかりやすいやり方で覚えてみましょう。

その他

付随費用

仲介手数料や登記料など、固定資産を買った時に支払ったものも取得原価に含めて処理します。

「購入にあたって、〇〇は現金で支払った」などの文言が出てくれば、付随費用の論点です。

建物1000を購入し、現金で支払った。なお、購入にあたって、仲介手数料50は現金で支払った。

建物1050現金1050

未払金

「代金は月末に支払う」という文言が出てきたときは、未払金を使います。

〇〇を買った時に、代金は月末に支払う

商品→買掛金

それ以外→未払金

と、使い分けます。

建物1000を購入し、代金は月末に支払う。

建物100未払金1000

減価償却費の精算表への記入方法



取得原価1000(耐用年数10年 定額法 残存0円)の場合の期末の仕訳は以下の通りです。

(今回は2年目の期末の仕訳です)

減価償却費100減価償却累計額100

これを精算表に書くと以下の通りになります。

①まずは、修正記入の欄に記入します。 借方が減価償却費100、貸方が減価償却累計額100ですから、該当する欄に書きます。

②損益計算書に記入します。(減価償却費)

借方:試算表の借方は0(空欄)なので、修正記入欄の貸方100をそのまま持ってきます。

貸方:試算表・修正記入ともに0(空欄)なので、そのまま空欄です。

③貸借対照表に記入します。

借方:(建物)試算表に1000、修正記入に0(空欄)なので、1000とそのまま記入します。

貸方:(減価償却累計額)試算表に100、修正記入に100なので、200(100+100)と記入します。

他の箇所は空欄のままです。

これで完成です。

最後に

減価償却費の仕訳は簿記3級のなかでも難しい問題です。少しずつ理解して、正解できるようになりましょう。

減価償却費論点の問題文読み方に特化した記事はこちらです。素早く解きたい方、理解して暗記したい方にもおすすめです。

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この記事を書いた人

【略歴】
20代男。都内の監査法人に勤務。
大学4年より公認会計士試験の勉強を本格的に開始。
その後、税理士法人で働きながら勉強を続け、何度もチャレンジしながら合格をつかみとった。
なお、大学4年間の塾講師アルバイト経験あり。

将来は自分の会計事務所を持つのが夢。

【資格】
公認会計士試験(論文)&日商簿記1級

【趣味】
サイクリング、将棋、食べること

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