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返品や付随費用の仕訳を解説【3-2.商品売買③】

3-2.商品売買③

前回の続きです。

前回の商品売買②の記事はこちらです。

目次

⑤仕入れた商品の返品                                  

掛け仕入

3-5-1.商品100円を仕入れ、代金は掛けとした。

ヒント1:仕入(  )、買掛金(  )

ヒント2:仕入(費用)、買掛金(負債)  

仕入       100        買掛金    100

借方(左):商品を仕入れたため、仕入(費用)の増加です。

貸方(右):あとで商品の代金を支払う義務が生じるため、買掛金(負債)の増加です。

1.①商品100円を仕入れ、②代金は掛けとした。

勘定科目:①仕入、②買掛金(1-1-2参照 2.と3.についても同様)

仕入返品

3-5-2.掛けで仕入れた商品100円のうち、20円を品違いのため返品した。

ヒント1:仕入(  )、買掛金(  )

ヒント2:仕入(費用)、買掛金(負債)

買掛金    20          仕入       20

返品により掛代金と相殺された→買掛金をへらす      

借方(左):支払い義務がなくなるため、買掛金(負債)の減少です。

貸方(右):仕入を取り消すため、仕入(費用)の減少です。

1.掛けで仕入れた商品100円のうち、①「20円を品違いのため返品」した。

勘定科目:仕入、買掛金(費用)(通常の仕訳3-5-1参照)

2.3.①通常の仕訳を思い浮かべて、貸借(左右)逆にしたものが答えです。

⑥売り上げた商品の返品                               

掛け売上

3-6-1.商品100円を売り上げ、代金は掛けとした。   

ヒント1:売上(  )、売掛金(  )

ヒント2:売上(収益)、売掛金(資産)

売掛金    100        売上       100

借方(左):あとで売上代金を受け取る権利を受け取ったため、売掛金(資産)の増加です。

貸方(右):商品を売り上げたため、売上(収益)の増加です。

1.①商品100円を売り上げ、②代金は掛けとした。                                             

勘定科目:①売上、②売掛金(1-2-2参照 2.と3.についても同様)

商品返品

3-6-2.掛けで売り上げた商品200円のうち50円が違いのため返品された。

ヒント1:売上(  )、売掛金(  )

ヒント2:売上(収益)、売掛金(資産)

売上       50          売掛金    50

借方(左):売り上げたときとは貸借(左右)逆の仕訳をするため、売上(収益)の減少です。

貸方(右):売り上げたときとは貸借(左右)逆の仕訳をするため、売掛金(資産)の減少です。

1.掛けで売り上げた商品200円のうち①50円が違いのため返品された。

勘定科目:売掛金、売上(通常の仕訳3-6-2参照)

2.3.①通常の仕訳を思い浮かべて、貸借(左右)逆にしたものが答えです。

⑦仕入や売上にかかる費用                                         

仕入時の付随費用

3-7-1.商品100円を仕入れ代金は掛けとした。なお、引き取り費用10円を現金で支払った。

ヒント1:仕入(  )、買掛金(  )、現金(  )

ヒント2:仕入(費用)、買掛金(負債)、現金(資産)

仕入       110        買掛金    100

                            現金       10

仕入の際に支払った費用は売上(収益)と対応させるために「仕入」に含ませます。

借方(左):商品を仕入れたため、仕入(費用)の増加です。

貸方(右):100円→あとで商品の代金を支払う義務が生じるため、買掛金(負債)の増加です。

      10円→現金で支払ったため、現金(資産)の減少です。

1.①商品100円を仕入れ②代金は掛けとした。なお、③引き取り費用10円を④現金で支払った。

勘定科目:①仕入、②買掛金、(③仕入)、④現金 

2-1.①商品を仕入れたため、仕入100/〇〇 (1-1-2参照)

3-1.仕入100/買掛金100 (支払い代金は掛けなので買掛金)

2-2.仕入10/〇〇 引き取り費用(付随費用)は仕入勘定に含めます。

3-2.仕入10/現金10 (1-1-2参照)

  

   

※決算で行うこと

仕入勘定はすべてが当期の費用となるわけではありません。商品の売れ残りがあるためです。

→①「当期に売れた商品分」の費用(売上原価)と、②売れ残った棚卸資産(資産)に分けられます。売れ残った棚卸資産は翌期に売上原価になります。

付随費用についても商品にかかる費用であるから、①「当期に売れた商品分」の費用と②売れ残った商品分に分けるべきです。

→付随費用を仕入勘定に含めれば、①と②を自動的に区別できます。(どちらも「費用」グループです。)

売上時の付随費用

3-7-2.商品を200円で販売し代金は掛けとした。なお発送費用10円を現金で支払った。

ヒント1:売上(  )、売掛金(  )

ヒント2:売上(収益)、売掛金(資産)

売掛金    200        売上       200

発送費    10          現金       10

売上(200円)

借方(左):あとで売上代金を受け取る権利を受け取ったため、売掛金(資産)の増加です。

貸方(右):商品を売り上げたため、売上(収益)の増加です。

発送費(10円)

借方(左):発送費用という費用が発生するため、発送費(費用)の増加です。

貸方(右):10円→現金で支払ったため、現金(資産)の減少です。

      

発送費→こちらから「発送」する≒商品を送る 仕入のときは商品が送られてきます。

1.①商品を200円で販売し②代金は掛けとした。なお③発送費用10円を④現金で支払った。

勘定科目:①売上、②売掛金、③発送費、④現金

2-1.①商品を販売したため、〇〇/売上200

3-1.②代金は掛けであるから、売掛金200/売上200

2-2.④現金で支払ったため、〇〇/現金10

3-2.③発送費10/現金10

※発送費(付随「費用」)について→売れ残りがある仕入勘定(費用)とは違って、売上の金額は当期に売れた商品の売価(収益)です。付随費用と売上を相殺せず、別々に表示したほうが適切です。

付随費用の立て替え払い(仕入)

3-7-3.商品100円を 仕入れ代金は掛けとした。なお引取費用10円を現金で立て替え払いした。

ヒント1:仕入(  )、買掛金(  )、現金(  )、立替金(  )

ヒント2:仕入(費用)、買掛金(負債)、現金(資産)、立替金(資産)

仕入       100        買掛金    100

立替金    10          現金       10

商品仕入(100円)

借方(左):商品を仕入れたため、仕入(費用)の増加です。

貸方(右):あとで商品の代金を支払う義務が生じるため、買掛金(負債)の増加です。

引取費用(10円)

借方(左):「後で、立て替えた分をもらえる権利」と考え、立替金(資産)の増加で処理します。

貸方(右):現金で支払ったため、現金(資産)の減少です。

1.①商品100円を 仕入れ②代金は掛けとした。なお引取費用10円を③現金で④立て替え払いした。

勘定科目:①仕入、②買掛金,③現金、④立替金

2-1.(3-1.)①②商品を仕入、代金は掛けであるため、仕入100/買掛金100です。(1-1-2参照)

2-2.③現金で支払ったため、〇〇/現金10

3-2.④立替金10/現金10

※本問の引取費用はあくまで立て替えたものです。後でお金を返してもらえる「権利」(=資産)が生じます。当社が負担して終わり(費用)ではなく、返してもらえるために短期の貸付金(資産)的な性格です。

費用とは性格が違うため、3-7-1のように仕入勘定(費用)に含めてしまうと問題が生じます。したがって、「立替金」という勘定を使います。

付随費用の立て替え払い(売上)

3-7-4.商品を200円で販売し代金は掛けとした。なお発送費用10円を現金で立て替え払いした。

ヒント1:売上(  )、売掛金(  )、現金(  )、立替金(  )

ヒント2:売上(収益)、売掛金(資産)、現金(資産)、立替金(資産)

売掛金    200        売上       200

立替金    10          現金       10

商品販売(200円)

借方(左):あとで売上代金を受け取る権利を受け取ったため、売掛金(資産)の増加です。

貸方(右):商品を売り上げたため、売上(収益)の増加です。

発送費用(10円)

借方(左):「後で、立て替えた分をもらえる権利」と考え、立替金(資産)の増加で処理します。

貸方(右):現金で支払ったため、現金(資産)の減少です。

1.①商品を200円で販売し②代金は掛けとした。なお発送費用10円を③現金で④立て替え払いした。

勘定科目:①売上、②売掛金、③現金、④立替金

2-1.(3-1.)①② 商品を販売し代金は掛けのため、売掛金200/売上200 (1-2-2参照)

2-2. ③現金で払ったため、〇〇/現金10

3-2. ④後でお金を返してもらえる「権利」(=資産)が生じるため、立替金10/現金10

⑧クレジット売掛金                        

その1

3-8-1.商品100円をクレジットカードにより販売した。なお信販会社へのクレジット手数料は販売代金の1%であり販売時に計上する。

ヒント1:クレジット売掛金(  )、売上(  )、支払手数料(  )

ヒント2:クレジット売掛金(資産)、売上(収益)、支払手数料(費用)

クレジット売掛金              99          売上       100

支払手数料           1                         

借方(左):あとで売上代金を受け取る権利を受け取ったため、クレジット売掛金(資産)の増加です。

      手数料分はクレジット売掛金から差し引きます。

貸方(右):商品を売り上げたため、売上(収益)の増加です。

1.①商品100円を~販売した。②クレジットカードにより販売した。なお③信販会社への「クレジット手数料」は販売代金の1%であり「販売時に計上」する。

勘定科目:①売上、②クレジット売掛金、③支払手数料

2-1.①商品を売り上げたため、〇〇/売上100

3-1.クレジット売掛金100/売上100(1-2-2参照)

2-2.支払手数料1/〇〇 (基本パターンB参照)

3-2.貸方(右)1円の勘定科目はわかりにくいですが、クレジット売掛金100円と相殺されているため、消えているだけです。 

(クレジット売掛金100※)/売上100

 支払手数料1/(クレジット売掛金(手数料分負債)1※) 

と考えてもいいかもしれません

4.クレジットカードでの売上(100円)→クレジット会社から代金を受け取ります。

 クレジット手数料(1円)→クレジット会社に手数料を支払います。

 代金(100円)から手数料(1円)を差し引いた残額(99円)をクレジット会社からもらえます。

→この金額(99円)を貰える権利を「クレジット売掛金」として処理します。

クレジット売掛金99/売上100

支払手数料1

※販売時に計上→「売上」勘定を使う時

その2

3-8-2.(前問の続き)クレジット取引について信販会社から1%の手数料を差し引いた手取り額が当社の当座預金口座に入金された。

ヒント1:クレジット売掛金(  )当座預金(  )

ヒント2:クレジット売掛金(資産)当座預金(資産)

当座預金              99          クレジット売掛金              99

借方(左):当座預金に入金されたため、当座預金(資産)の増加で処理します。

貸方(右):クレジット売掛金を回収(代金を現金か預金で受け取る)したため、クレジット売掛金(資産)を減少させます。

1.①「クレジット取引について~手取り額」が当社の②「当座預金口座に入金」された。

勘定科目:①クレジット売掛金、②当座預金

2.②当座預金に入金された(増えた)ため、当座預金/〇〇

3.当座預金/クレジット売掛金

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3-2.商品売買③

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この記事を書いた人

【略歴】
20代男。都内の監査法人に勤務。
大学4年より公認会計士試験の勉強を本格的に開始。
その後、税理士法人で働きながら勉強を続け、何度もチャレンジしながら合格をつかみとった。
なお、大学4年間の塾講師アルバイト経験あり。

将来は自分の会計事務所を持つのが夢。

【資格】
公認会計士試験(論文)&日商簿記1級

【趣味】
サイクリング、将棋、食べること

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